シマノが「海で分解するルアー」を作ったらしい。
……ちょっと待ってくれ。
海で分解する?
それ、釣っている最中に壊れたりしないのか?
それより何より、今年使ったルアーを来年も普通に使えるのか?
ルアーは一回釣ったら捨てるものじゃない。
何年もタックルボックスに入れ、シーズンが来ればまた投げる。
時には護岸にぶつけるし、サーフの砂も浴びる。
そんな釣具に「生分解性樹脂」。
これ、釣り人としては環境性能より先に耐久性が気になる。
2026年6月、シマノとカネカが発表した生分解性素材Green Planet(グリーンプラネット)採用ルアーについて、公式資料を読み込んでみた。
先に結論を言うと、通常使用での耐久性はメーカーが確認済み。ただし「何年使えるか」は別の話だ。
※本記事は公式発表に基づく考察です。筆者がこの素材のルアーを長期間使用して強度を測った実釣レビューではありません。
シマノの生分解性ルアーは壊れない?先に結論
2026年6月24日、シマノは一部ルアーにカネカのGreen Planetを採用したと発表した。
その際、従来品と同等の操作性・耐久性を確保したと明記している。
カネカ側も、繰り返し使用できる耐久性を満たしたと説明している。
つまり少なくとも「使い捨てを前提にしたルアー」ではない。
ただ、ここで安心しきってはいけない。
「耐久性を確保した」という発表と、「2年後・3年後も新品同様の強度」という保証は同じではないからだ。
| 気になる疑問 | 公式情報で分かること |
|---|---|
| 普通に繰り返し使える? | 従来品と同等の操作性・耐久性を確認したと説明 |
| 海で分解する素材なの? | Green Planetは海洋環境で生分解する特性を持つ |
| 1年間の海水試験は? | 大阪湾で浸漬前後の外観比較を公表 |
| 来年も同じ強度で使える? | 具体的な保管年数や経年強度の数値は今回確認した発表にない |
| 根掛かりで失くしたら全部消える? | ルアー全体の分解期間、フック・金具の扱いは公表内容だけでは断定できない |
俺が知りたいのは、特に4行目だ。
海では分解する。でも、家に持ち帰ったら長く使える。
そんな都合の良いことが本当にできるなら、なかなか面白い技術だと思う。
参考:シマノ公式「釣用品への生分解性素材の採用」/カネカ公式発表
海で分解するのに丈夫?「Green Planet」の仕組み
この新素材を開発したのは、釣具メーカーではなく化学メーカーのカネカ。
Green Planetは100%バイオマス由来の生分解性ポリマーだ。
食品用のストローやカトラリーなどでも活用される素材が、今度はルアーになった。
ストローの素材とシーバスルアーがつながるとは。
こういう異業種からの技術投入は、個人的に大好物だ。
そもそも「生分解」は、海水に触れた瞬間に溶けるという意味ではない。
微生物の働きによって、一定の環境と時間をかけて分解が進む現象だ。
温度、微生物の活動、材質の形状・厚みなどで進み方は変わる。
カネカは素材の海洋生分解性について、30℃の海水中で6か月以内に90%以上生分解するという認証条件にも言及している。
ただし、これは素材についての所定試験条件の話。
実際のサルベージソリッド70Sが日本海の海底で6か月後に90%なくなる、と言っているわけではない。
まして冬の低水温、深場、砂に埋まった状態で同じ速度になると考えるのも早い。
数字を見た瞬間に「半年で消えるルアー」と書いてしまうと、話が別物になる。
参考:カネカ公式:Green Planetと海洋生分解性認証の説明
シマノは大阪湾で「1年間の海水浸漬試験」まで公開していた
今回の発表で、個人的に一番気になったのがこの部分だ。
シマノの公式ページには、大阪湾で1年間海水に浸漬した成形品と、浸漬前の成形品の比較写真が掲載されている。
そんな試験までやっているのか。
ただ、ここで大切な注意点がある。
「1年浸した写真がある」ことと、「1年後も普通にキャストできる強度だった」ことは別だ。
公式記事では、浸漬前後の外観は確認できるものの、その成形品の残存強度や、どれだけの荷重・衝撃に耐えるかという比較数値は示されていない。
この試験は、むしろ素材の海洋環境での変化を知る手掛かりとして見るべきだろう。
つまり海に1年間放置したルアーの試験結果を、そのまま「家で1年間保管したルアーの寿命」に置き換えてはいけない。
写真はぜひ公式ページで確認してほしい。
採用例は「サルベージソリッド70S」|どんなルアー?
カネカの公式発表では、Green Planet採用ルアーの一例としてシマノ「サルベージソリッド70S」が写真付きで紹介されている。
サルベージソリッドは、樹脂を詰めた薄いボディを特徴とするシーバス用バイブレーション。
70Sは70mm・16gという公式ラインナップの一つで、シャロー攻略を意識した設計だ。
樹脂製のソリッドボディで、飛距離や泳ぎの立ち上がりを狙っている。
だから素材変更で強度だけでなく泳ぎも変わってしまえば意味がない。
メーカーが操作性と耐久性の両方を評価したというのは、ここで効いてくる。
ただし注意したいのが、「サルベージソリッド70S」という名称だけで、流通する全カラー・全製造時期の商品がGreen Planet仕様だと断定できる資料は、今回確認した発表にはないこと。
購入時に素材採用を重視するなら、対象の品番・カラー・製造時期をメーカーや販売店に確認したい。
来年も使えるのか?釣り人なら気になる4つの耐久性
①釣行後に洗って乾かせば、長年使える?
俺はルアーを買って、そのシーズンだけで使い切ることはほとんどない。
釣行後に洗い、乾かし、次の年まで保管する。
特にシーバス用のバイブレーションなんて、何年も使うことがある。
生分解する樹脂で気になるのは、こういう普通の保管をした場合の経年劣化だ。
ところが公式発表には、乾燥保管で何年間の使用を保証するのかという年数は出ていない。
「乾かせば絶対に劣化しない」とも、「翌年には脆くなる」とも、今は言えない。
②真夏の車内や湿ったタックルボックスは?
夏場の車内は高温になる。
そして、釣り人のタックルボックスが常にカラカラとは限らない。
水滴が残ったルアーを帰宅後まで入れっぱなしにすることもある。
高温多湿の保管環境でどの程度変化するか、素材採用ルアーに関する具体的なデータは公表発表からは確認できなかった。
ここは今後ぜひ知りたい。
③護岸や岩にぶつけた時の耐衝撃性は?
ルアーが壊れる理由は、必ずしも海水による劣化だけじゃない。
キャストミスで護岸に激突。
根に当てる。
魚とのやり取りでボディに負荷が掛かる。
普通の釣りで起きるこうした衝撃にも、従来品と同等の耐久性があるのか。
メーカーの総合的な耐久性評価は好材料だが、衝撃試験の数値や条件も見られたら、もっと判断しやすい。
④フックアイ周辺や金具との接合部は?
個人的に気になるのは、ボディ全体が割れるかどうかだけではない。
強い負荷の掛かるフックアイ周辺や、異なる部材との境目だ。
何年も使う道具なら、見た目がきれいでも強度が落ちていないか気になる。
もちろん現時点で「危険だ」という話ではない。
未確認だからこそ、実使用と長期保管の検証が見たい。
「海で分解する=根掛かりしても放置していい」ではない
これはハッキリさせておきたい。
生分解性ルアーだからといって、回収しなくていいわけではない。
まず、分解するのは素材の特性であって、ルアー全体のすべての部品が同じ速度で消えるとは限らない。
フックやスプリットリングなどの金属部品もある。
分解までの間に、ルアーやラインが生き物に絡むリスクもなくならない。
だから回収できるなら回収する。根掛かりを避ける。釣り場に捨てない。
ここは通常のルアーと同じだ。
その上で、どうしても回収できず残ってしまった場合の環境負荷を下げよう、という方向に意味がある。
「海に捨ててよいルアー」ではなく、「失くしてしまった後の影響を減らすことを目指した素材」だと捉えたい。
結局、この生分解性ルアーは買いなのか?
俺なら生分解性だけを理由に即買いとは言わない。
シーバス用バイブレーションとしての泳ぎ。
自分が使いたいレンジ。
飛距離。
フックの使い勝手。
そして価格。
まずそこが普通のルアーとして優秀かどうかだ。
環境への配慮は、その上に乗る価値だと思う。
でも、釣具と化学メーカーが組んでここまで踏み込んだのは面白い。
「自然に還る素材」と「何年も使いたい道具」。
相反するように見える二つを両立しようとしている。
しかもシマノは、すでに従来品と同等の耐久性を確保したと公表している。
となると次は、「じゃあ3年後は? 5年後は?」が知りたくなる。
これはメーカーに確認してみたい部分だ。
よくある疑問|シマノの生分解性ルアー
Q. 一回の釣行でボディが分解する?
一回で分解する使い捨て品とは説明されていない。シマノは繰り返し使用を前提とした耐久性を確認したと公表している。
Q. 来年も使える?
通常使用に必要な耐久性は確認されているが、長期保管後に何年間同じ強度を維持するかという具体的な年数は、今回確認した公式資料にない。
Q. 1年海水に浸した試験で、耐久性が証明された?
シマノは大阪湾での海水浸漬前後の外観を公表している。しかし、1年後の残存強度を示すデータが掲載されているわけではない。
Q. 海水で半年以内に全部分解する?
素材の認証条件で示される「30℃・6か月・90%」を、実際の製品や日本の海全体にそのまま当てはめることはできない。
まとめ|海で分解するのに「長く使える」。ここが一番面白い
シマノの生分解性ルアーは、どうやら単なる環境PRでは終わらない。
従来品と同等の操作性と耐久性を確認した。
大阪湾で1年間の浸漬試験も行った。
そして釣り人に残った疑問が一つ。
「これ、来年も再来年も普通に使えるのか?」
そこに具体的な答えが出てくれば、釣具の素材選びが変わるかもしれない。
環境に優しいのは良いことだ。
でも、俺たち釣り人にとって長く使えることもまた、環境に優しいことだと思う。
海で分解するルアー。
……なのに長年使える?
本当に両立できたら、凄いじゃないか。
こういう「ナニコレ」は大歓迎だ。笑


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